ミッション分解の最終回です。
基本的に外した順に組み直すだけで済みますが、一応手元に整備書を置いておいたほうが良いです。
GA2はファミリーカ―なので、機械式LSD + メタルクラッチ + Sタイヤでクローズドコースの高μ路面でスポーツ走行をすると・・・カウンターシャフトのファイナルギアが良く欠けますw
高負荷がかかる上に力の逃げ場がなくなるので、ファミリーカーの脆弱なカウンターシャフトはポッキリと逝きますw

こんな感じに外側のギアが欠け落ちます。
過去に乗り継いだGA2や中古で購入したミッションをバラした時に、全部同じ感じで外側のファイナルギアが欠け落ちていました。
なので私は力の逃げ場を作る為に、クラッチとクラッチカバーだけは純正か純正相当の社外品(Exedyで純正相当のクラッチが売っています)を使っていました。クラッチのレリーズベアリングは純正品が手に入ります。
お蔭で交換したファイナルギアは一つも欠けませんでした。
【クラッチ品番:HCD002UA】
【クラッチカバー品番:HCC506】
この時代に純正のカウンターシャフトの新品は入手不可能なので、社外品のカウンターシャフトか中古のカウンターシャフトを入手するしかありません。


現在でも販売されているのはDewpointのAdelia Magicのファイナルドライブギアです。
新品購入なので8万円しましたw
ちなみにアデリアマジックのファイナルギアのギア比は4.846です。
品番:0081-FGA48。ディファレンシャルのリングギア交換は不要です。

左から
メインシャフト(ルート6 + 純正5速)、
カウンターシャフト、
カウンターシャフト+ルート6クロスミッションです。
メインシャフト側は5速しか交換できません。
なのでクロスミッション(1速~4速)に交換する場合はメインシャフトもクロスミッション用に交換する必要があります。
メインシャフト側は5速は手で外せるので簡単に交換出来ます。

カウンターシャフト側はナットで締め付けられているので、カシメを戻してナットを外します。
ちなみに再利用出来ないので交換用ナットを用意しておく必要があります。


30mmの6角ソケットとインパクトレンチでナットを緩めます。

ナットが外れたらベアリングとギアを順番に外します。
基本的にミッションオイル漬けになっているので、固着していない筈なので手で外れます。
予備で保存していた場合、ちょっと固着して外れ難い場合がありますので、その場合はプーラーで外します。

組み付け方向があるので、方向と順番が分かるようにちゃんと並べておきます。
もうちょっと細かく分解出来ますが、無理してバラバラにする必要はありません。
特にニードルベアリングはバラさずに一緒にまとめて外してしまった方が簡単です。

希少なルート6のクロスミッションです。
(ちなみに
アデリアのクロスミッション(品番:0080-H0201)は現在でも販売されています、1~5速のフルクロスなのでそのまま組むと高速道路での移動が辛くなります)。
ルート6のクロスミッションは1~4速クロスなので、4速と5速のギア比がかなり広がる事になります。
4速から5速に入れる時にしっかりと回転数を合わさないと5速がブローし易くなります。
知り合いが4速でひっぱって5速に叩き込んで5速をブローさせてしまいました(同じルート6クロスです)。
5速から4速に入れる時はもっと慎重に回転数を合わせる必要があります、2000rpm程上げてからクラッチを繋げばいいのですが、一番いいのは車速をかなり落としてパワーバンドが外れた低回転領域で回転数を微調整しながら入れるのでミッションを傷めずに済みます。
あと、5速を壊さないように反対側のリバースギヤを入れる時も優しくするようにします。

上が純正のカウンターシャフトで、下がアデリアのカウンターシャフトです。
アデリアの場合、青い目印があります。

あとは純正はファイナルギアに窪みがありますが、アデリアには窪みがありません。
カウンターシャフトのファイナルギアに窪みが無くなってしまいますが、ディファレンシャル側のリングギア側にも窪みがあるので、ミッションオイルは十分行き渡ると思うので大丈夫でしょう。

新しいカウンターシャフトにミッションオイルで充分に濡らして、
あとは新しいカウンターシャフトに外したギヤとベアリングを逆順に組み付けるだけです。
ナットを取り付けて、仮止めします。
まだここでは本締めをしません。

ナットの本締めを行う前に、
シンクロスリープが左右に動くかチェックします。
1速⇔2速に入るかチェックを行い、
勿論3速⇔4速に入るかもチェックします。
もしシンクロスリープが片方にしか動かなかった場合は、
ブロッキングリング(橙色の部品)とシンクロハブ(橙色の部品が付いている部品)を取り付け位置がズレていないかチェックします。
ブロッキングリングの凸部分がシンクロハブの凹み部分に合わせて取り付けられているかチェックします。
シンクロスリープが全て動作する事をチェックしたら、シンクロスリープを戻してニュートラルに戻したら、
ナットを本締めします。
本締めしたらもう一度シンクロスリープが動作するかチェックします。
あとはミッションケースに戻して、逆順に取り付けるだけです。


ミッションケースのスナップリングを、
カウンターミッションの先端についている溝付きベアリングにキチンとはめます。
あとは液状ガスケットの塗布も忘れずに。
ミッションケースに入れて組み上げたら、
ミッションケース外側からシフトフォークシャフトの結合部分を動かして
1~5速、リバースに入るかチェックをします。
シフトフォークシャフトの結合部分の穴にマイナスドライバーを差し込んで、Hパターンにシフトすればチェック出来ます。
このチェックを行わずに車体に搭載してしまうと・・・全て一からやり直しです、苦痛の伴う罰ゲームですw
このチェックだけは絶対に行いましょう。
ちなみに2速から1速にシフトダウンする際にギアがガリガリ鳴る場合は、ブロッキングリングが摩耗して使用限界値まで薄くなっている可能性があります。シンクロが減ってもダブルクラッチでギア鳴りしないように出来ます。
また、シンクロも新品購入すると2万円近くしますし、メーカー在庫も無くなったら購入出来なくなりますので、新品交換しても日常的にダブルクラッチ(シフトダウンの時に行います)を使用した方がシンクロが長持ちします。
旧車乗りならダブルクラッチのやり方を知っていると思いますが、一応知らない人の為にやり方を・・・
2速から1速にシフトダウンする時の例:
①2速からニュートラルへ入れる。
②クラッチを切っていた場合はクラッチを繋ぐ(バックラッシュを利用したノークラッチシフトじゃない時)
③アクセルを踏んで1速ギアに合う回転数に上げる
④クラッチを切る
⑤1速に入れる
⑥クラッチを繋ぐ慣れると素早く操作出来る様になりますが、慣れないうちは③~⑥の間にタイムラグが発生するので、
③で回転数を上げる時に多少多めに上げておいた方が上手くいきます。
初めからヒール&トゥと合わせてやろうとすると・・・パニックになると思うので、ダブルクラッチが無意識に出来るようなってからヒール&トゥと組み合わせて行うようにしましょう。
(GA2の場合ブレーキペダルとアクセルペダルが隣接しているので、ヒール&トゥというよりローリングトゥ(親指付近でブレーキを踏みながら、小指付近でアクセルペダルを操作)になりますけどw)
更に慣れてきたら①の時にノークラッチシフトを組み合わせると、更に早くダブルクラッチシフトが出来るようになります。
ノークラッチシフトを組み合わせるとクラッチを踏むのは1回だけになるので、ダブルクラッチと呼んでいいのかは微妙になりますけどw
ノークラッチシフトを組み合わせたダブルクラッチを行うと、傍からみると普通にシフトダウンしているようにしか見えなくなります。
あるクローズドコースで走行中のビデオを撮ってもらった時に
「なんであいつが運転するとギア鳴りしないんだ?」
と話している声が録音されていましたw
素早く行うと、本当にダブルクラッチを使っている事に気付かれなくなります。
知っている人なら、一瞬ニュートラルで手を止めている事に気付いて、ダブルクラッチを使っている事に気付くのですが、ダブルクラッチ自体を知らない人が横で見ていても全く気が付かれませんw
ダブルクラッチが成功すると一切シフトショック無しでギア鳴りも無く、スコーンと入ります。
シフトショックがあったりガリっとなったらダブルクラッチは失敗です、シンクロのお蔭でギアが入っている状態です。